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コラム

国民総ダンサー時代前夜に考える、ダンスとクリエイティブの幸福な関係

人生にイノベーションを起こすためのパラレルキャリア

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なぜいま、パラレルキャリアなのか

私は2002年に広告会社に就職して、営業→コピーライター・クリエイティブディレクターと進みながら、2006年からプロダンサーへの道を歩み始め、10年以上パラレルキャリアを続けてきました。

広告の仕事をしながら、人間国宝の坂東玉三郎さんに演出していただいて踊ったり、世界的な演劇祭で満場のスタンディングオベーションを浴びたり、万博のジャパンデーでパフォーマンスをしたこともありました。こんなに刺激的で、幸福な人生はありません…!

カザフスタン アスタナ国際博覧会のジャパンデー公演。津軽三味線の第一人者である上妻宏光 さん、雅楽師の東儀秀樹 さん、日本舞踊の花柳寿楽さんらと出演(2017年)

坂東玉三郎さんに演出していただいた「バラーレ」公演(2015年)

なぜ、そのような選択をしたかと言えば、究極のエンターテイメントを作りたいという「目標」があったからです。広告は、コピー(言葉)、映像やデザインはもちろんイベントやWEBの能力も必要ですし、ダンスはもっともプリミティブなパフォーミングアート。そのような複数分野の新たな組み合わせでこそ今までにない面白いものが作れる、作りたいと思ったのです。

目標は手段をクリアにします。広告でも同じですね。

夢はなんでもいいのですが、夢の解像度は重要です。やるべきことも見えてくるので。

目標としてどのように生きたいかという「ライフスタイル」があり、それを実現するために「ワークスタイル」が存在する。

この順番は絶対死守するべきです!

そんな当たり前のことが、日本では当たり前ではなく、ワークスタイルに飲み込まれて人生の目標を見失ってしまう人も多いような気がします。

若手時代の激務っぷりは今の時代角が立つので具体的には書きませんが(笑)、深夜まで働いてそのままダンスの練習に行って、また朝から働く、という日々を10年続けました。大変でしたが、いまがあるのはその時の経験のおかげ。

年に二回の長期休暇で毎年のように海外公演にも行っていましたし、会社からダンサーという肩書の名刺を作っていただいてダンス関係の仕事もしていたので、とても恵まれた環境でした。

社会状況の話を少しだけすると、昨今進んでいる働き方改革により、にわかに私のようなパラレルキャリアが注目されるようになり、その文脈で取材をされることなども増えてきました。

2017年は副業元年と言われていますが、これからますます増えていくことは間違いないでしょう。

広告でも「変わりたい」「変わらなければならない」というテーマが扱われることも年々増えている印象。産業が生まれて滅びるまでの期間がどんどん短くなっているので、企業も変わらざるを得ないですし、一つの企業で一生働き続けられる人もほとんどいなくなるでしょう。今や、変わらないことがリスクになる時代かもしれません。

今の自分をキープしたまま、変化を生み出していくためにも「複」業化はおすすめできます。

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