コラム

国民総ダンサー時代前夜に考える、ダンスとクリエイティブの幸福な関係

人生にイノベーションを起こすためのパラレルキャリア

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イノベーションは既存の知の組み合わせ

このような話になると必ず聞かれるのが「一つのことに集中しないと極められないのでは?」ということです。

こればかりは、「俺は職人なんだ!」という人もいるでしょうし、指向するスタイル次第。

自分はその質問には「パラレルキャリアはイノベーションを起こすため」と答えています。

企業の中ではもちろん、個人の中でもどうすればイノベーションが起きるのか、というのは2000年代以降の日本ではずっと課題とされていること。

各国でイノベーションについての研究が行われていますが、ヨーゼフ・アロイス・シュンペーターは「イノベーションは既存の知の組み合わせ」と定義しましたし、「両利きの経営」で有名なジェームズ・マーチは「イノベーションのためには知の深化と知の探索の両方が必要」と言っています。

自分も、頭で考えるのに行き詰まったときに「身体感覚」から発想して解決できたこともありますし、ダンスの世界に映像やインタラクティブなアイデアを持ち込んで新しい表現を生み出したこともあります。

日本人は知の深化は大得意!ですが、ともすれば「それだけやっていればいつか報われる」という、狭い思考になってしまいがちです。

広告クリエイターはクライアントから「客観性」を期待されているところがあると思いますが、パラレルキャリアでいることで自分自身がいる場所について客観的になることもできるでしょう。

会社員時代に研修で後輩たちに「自分がおかしいと思っても先輩に従わなければならないことがあると思うけど、その疑問まで捨てないように」とよく言っていましたが、「これは、こうあるべきということになっているけど、おかしいんじゃないか?」という疑問はクリエイティブの源泉ですよね。

また、特殊な能力の組み合わせは、第一想起されやすいというメリットもあります。ダンスに強い広告クリエイターと言えば、と考えれば私にも第一想起されるチャンスがありそうです。

「あの人にしかできないから」という状況は、声がかかりやすいという面でも、イニシアティブを握って仕事をするという面でも役に立ちます。

次ページ 「みんなで無駄をなくす」へ続く

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