コラム

ビデオコミュニケーションの21世紀〜テレビとネットは交錯せよ!〜

逆襲するテレビ〜視聴率は世帯から個人へ、量から質へ

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ビデオリサーチ、2020年4月から全国で個人視聴率を計測

先にVR Forumの方から紹介すると、何と言っても「新視聴率計画」の発表に驚きました。ご存知の通り、世帯視聴率ではなく個人視聴率になり、タイムシフト視聴率も加算する「All & P+C7」と呼ばれる指標が関東圏で昨年から使われていました。2020年4月から、全国でこの計測ができる体制を整えるというのです。

2020年以降全国に広げることは昨年のVR Forumですでに発表していましたが、いつ整うかは明示してませんでした。それを、「2020年4月から全国でスタート」と宣言したのです。

これはすごいスピード感だと思います。ビデオリサーチ社は“カレンシーデータ”を扱う会社なので慎重なイメージがありました。同社としては異例のスピーディさではないでしょうか。それくらい喫緊の課題だったということでしょう。

「世帯が個人に変わる」と言われてもあまりピンと来ないかもしれません。図にするとこんな違いがあります。

10世帯あって6世帯がある番組を見ていれば世帯視聴率は60%。でもその中の個々人がこんな感じで見ているとすると、個人視聴率は36%です。個人は世帯の5割とか6割になると言われます。家族全員で同じ番組を見ないからです。昔は全員で同じ番組を見てたので、世帯で良かったのでしょうけど、今は番組によって対象が違いますよね。だから個人視聴率で見た方が現実を表現できていると言えそうです。

「昨日のW杯は世帯視聴率40%だった!」と聞くとついつい「おお!日本人の4割が見ていたのか!」と思ってしまいますが、それは誤りだとわかります。

世帯視聴率を個人視聴率にする意味は、それだけではありません。これまでの視聴率調査は性年齢別までしかわかりませんでした。いわゆる「F1」とか「M3」とかですね。ビデオリサーチとしてはそれを別のデータと突き合わせることで、「どんな人が見ているか」まで解析していくそうです。

個人視聴率の「個人」はそれぞれどんな人物か。どんな仕事をしていて年収はどれくらいでどのような商品をどのような場所で購入するのか、などなどなど。

つまりその番組を「誰が見ているのか」まで落とし込もうというのです。そのために、全体にサンプル数を増やすことも発表していました。関東圏の調査世帯はこれまで900世帯でしたが、3倍の2700世帯に増やすのだそうです。それくらい増やして「誰が」もわかるようにすると、例えば年収1000万円以上の自動車銘柄選定・購入決定者をサンプルとしてそれなりの数で取り出せる。つまり高級車の購入可能性を持つ人がわかるので、その人たちにどうCMを打てばいいかも見えてくる、ということでしょう。

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