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コラム

澤本・権八のすぐに終わりますから。アドタイ出張所

何歳になってもゼロから学べる自信があれば、人生は怖くない(ゲスト:石川善樹)【後編】

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改善を起こすには大人数、革新を起こすには少人数のチームがいい

中村:あと、また自分にないものが気になってしまうんだけど、大局観を得ようと。これは「大局観を得よう」としか書いてなくて、どうやって大局観を得ればいいのか分かんなかったっていう。人生全体を俯瞰するってこと?よく分かってないんですけど。

石川:そうですね、僕が大局観の重要性に気付いたのは、たまたまずっとやっている研究の中で、人ってどうやってひらめくのかとか、どうやってイノベーションを起こしていくんだろうと考えていた時なんですね。大前提として昔はひとりの天才が考えていたのが、今はチームなんですよね。それで、イノベーションっていうのも2種類あって、「改善」なのか「革新」なのかっていうのがあるんですよ。

中村:うん。

石川:「改善」というイノベーションもあれば、「革新」を起こすイノベーションもあって。「改善」はどういったチームが必要かっていうと大人数のチームなんですよ。

澤本:「改善」は大人数。

石川:人数が多ければ多いほど、「改善」が進みやすいんですね。なぜかというと人数が多くなるとその集団はどんどん論理的になっていくんですよ。

中村:確かに。

石川:そうすると、「改善」が起こりやすくなります。

中村:要するに合理的に考えていったら、こうすべきだからこうしようっていう。

石川:絶対そうなっていくんですよ。それは「改善」を起こす時にはすごく重要。一方で「革新」を起こす時ってのは、少人数なんですね。過去の「革新」を見ても、ほとんど少人数から始まっている。せいぜい3~5人なんです。

澤本:なるほど。少ないね。

石川:5人も多いかもしれないですね。3人ぐらいがちょうどいいんです。「革新」は、その3人のチームをどう組むのかがすごく大事。どういうメンバー構成かというと、3人中2人はベテランと若手なんですよ。

中村:はあー。

石川:古今東西の色んなイノベーションを見ても、ベテランと若手の組み合わせが必須なんです。若手は若手で組みやすいし、ベテランはベテランで組みやすいんですけど、ベテランと若手っていうのが、その革新的なことを起こしやすい。もうひとりの3人目が重要で、この人が俯瞰的に、大局観をもってベテランと若手のやり取りを調整する人なんですね。

中村:え?真ん中ぐらいの人?

石川:真ん中みたいな人ですね。例えば実際の会議だとどんな感じかっていうと、ベテランと若手とその人が3人で会議をした時に、ベテランと若手がずっとしゃべっているんですよ。それを会議室の隅っこでその3人目の人が見ているんですね。じーっと(笑)。

中村:なんかちょっと大局観ありますね(笑)。

石川:で、2人が議論して、1時間経った時にふっとその3人目を見て「これまでどうですか?」って聞いたら「君たちの議論はこういうところがすごい良くて、逆にこれまでの議論で欠けていた視点はこれだ!」というのを指し示してくれるっていう。俯瞰して見てくれる人によって、どんどん「革新」の方向に向かっていくと思って。僕最近オンラインでディスカッションする時は、必ずそういう俯瞰役を設けるんですよ。

澤本:ああー。

石川:君は議論に参加しなくていいから見ていてくれと。30分たったら、どういう視点が欠けていたのかを教えてくれって。やっぱり自分で自分を俯瞰してみるって無理ですから。

中村:なるほど。

石川:っていう感じですかね。大局観って。

中村:だから、「革新」を起こすには3人のチームをつくれ。そしてベテランと若手と大局観担当。

石川:そうです。

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