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コラム

世界で活躍する日本人マーケターの仕事

世界で活躍する日本人マーケターの仕事(ウォルト・ディズニー・カンパニー 加藤匡嗣さん)前篇

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コンシューマーの課題を解決することに常に特化してきた

— ディズニーでデザインを統括するお仕事をする上で意識されていることは?

常に「コンシューマーの課題を解決する」ことに集中することです。これはナイキ時代に教えてもらったことです。私はもともと、新卒で博報堂に入社して、TBWA\HAKUHODOに出向し、TBWA Chiat Day、ナイキを経て、現在ウォルト・ディズニー・カンパニーにいます。

ナイキ時代に、カンヌライオンズなどでも多数の賞を受賞したナイキ本社から来ていたイタリア人の伝説的クリエーターで、当時の日本のマーケティングのトップから「自分たちの仕事はコンシューマーの課題を解決することにつきる」ということを教えてもらいました。会社の課題や商品の課題、また上司が求めることなどに注目することに陥りやすい世の中で、ひたすらコンシューマーに応えることが一番と言われたことは以後のキャリアに非常に強い影響を与えました。それまでは広告会社としてクライアントの課題を解決してきましたが、ナイキでの仕事を経て、常にコンシューマーのプロブレムは何か、そしてそのコンシューマーのインサイトは何かを理解していくようになりました。

コンシューマーのプロブレムとインサイトをくっつけたら、そこに自分たちのオポチュニティ(機会)が生まれます。その機会に対してアイデアを出していくというプロセスで戦略を組み立てていきます。

例えば、社会的にいじめの問題があります(プロブレム)。一方で、スポーツには世界を変える力があります(インサイト)。この2つを合体して、スポーツの力を使って、いじめを解決しようというのがオポチュニティです。そこからアイデアを考えていくようなイメージです。こうしたアプローチによって、今まで考えられなかったような広告のキャンペーンのアイデアが出てくるようになりました。

ナイキでは日本で広告とデジタル、デザインを統括した後、アメリカでランニングカテゴリーのマーケティングを統括してからデジタルのマーケティング、クリエイティブ、プロダクト開発などを見ていました。クリエイティブ、デザイン、マーケティング、デジタル、イノベーション、そして今はプロダクトデザインに携わっていますが、一貫しているのはコンシューマーの問題を解決するということです。どの会社に行ってもどの立場であっても、自分の商品や自分の会社の問題を解決するのではなく、人の課題を解決することを意識しています。

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