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コラム

燃えない、スベらない。パーパス・ブランディングの極意とは

第4回 ブランドパーパス起点の戦略・アイデアの考え方。最終回なので、ぜんぶ書きます。

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それは、みんなの思いとシンクロできるか。

さて、「変えたい常識」「みんながうれしい未来」について考えると言っても、それがターゲットとしている人たちの思いとシンクロしていなければ、ただのブランドのエゴの押し売りで終わってしまいます。

大切なのは、「そうだよ、僕もヘンだと思ってたぜ!」と世の中が共感してくれそうな「常識」と、「そうそう、そうなると私もうれしいわ!」とみんなに思ってもらえる「未来」を、描けるかどうかです。

ここで右下の円「消費者インサイト」の出番です。

「変えたい常識」と「うれしい未来」が浮かんだら、その常識が消費者の隠れた悩みなのかどうか、その未来が消費者の隠れた願望を満たすものになるのか、と言う観点で検証したり深掘りしてみてください。

パンテーン就活キャンペーンにおける「変えたい常識」と「うれしい未来」は、実は、当事者である多くの就活生のリアルな悩みと切実な願望でもありました。

2018年の新聞広告には、その悩みと願望の声を、すべてそのままクリエイティブの中に載せています。

P&G「パンテーン」の2018年の「就活キャンペーン」の第1弾の広告。調査で出てきた「就活ヘア」に対する就活生1000人の生の声をそのままモザイクアートにした。

もし当時の新聞や、解像度の高い画像がどこかにあれば、グーっと寄るとひとつひとつの声を読めると思います。広告上には1000人分しか載せられていないのですが、まさに千者千様のリアルな悩みや不満が書かれています。

多くの就活生は大人しく就活ヘアを受け入れていたし、その髪で自分をアピールしようとしていた。でも、本音はイヤでしょうがなかったり、まるで自分じゃない気持ちがしていたり、髪のせいで自信が持てていなかった。そして「画一的な就活ヘア」という常識が変わり、「自分らしい髪で臨める就活」という未来が来ることは、就活生自身も、本音で望んでいるものだったのです。(実は企業の望みでもありました。)

隠れた悩みとシンクロできる常識を探せるか。隠れた願望とシンクロできる未来を示せるか。ソーシャルインサイトが先か、消費者インサイトが先か、あるいは同時に掘るかは問いませんが、以下を参考に考えてみると良いかもしれません。(私自身は、なんとなく同時に掘っている気がします)

ソーシャルインサイトから、消費者インサイトを探す
・ その常識は、消費者のどんな悩みを生み出しているか?
・ その未来は、消費者のどんな願望を満たすのか?

消費者インサイトから、ソーシャルインサイトを探す
・ 消費者の悩みを生み出している常識は、何か?
・ 消費者の願望を満たす未来は、何か?

次ページ 「「あんたが言うか問題」を避けるために」へ続く