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コラム

嶋野・尾上の『これからの知られ方(仮)』

第6回 SNSを使って話題を呼ぶ、73歳の寿司職人「鮨ほり川」(前編)

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挑戦に積極的な姿勢が、自然にアイデアを生む

尾上:今回話を伺ってきたお店が、祖父の代からとかではないんですが、わりとお年を召したご主人のやられているお店で。かつ、SNSで話題というお店の話なんですね。

嶋野:なんと、そんな店があるんですか。

尾上:はい、あります。「鮨ほり川」さんという。

嶋野:あの有名な。

尾上:はい、あの有名な。みなさんご存知かわかりませんが、一応概要をお話ししますと。「鮨ほり川」(の大将、堀川文雄)さんは今73歳。そしてTwitterを使いこなし、レシピを(コンテンツ投稿プラットフォームの)「note(ノート)」で公開するなど、いろんな手法で話題を呼び続けている、世田谷代田にあるお寿司屋さんですね。

で、ほかにもメニューで、フルーツ寿司とか、野菜寿司みたいなものも話題を呼んでいるというお店です。ちなみに、トマト豆腐鍋というお鍋も寿司のコースの中に入れるっていうところで話題を呼んだりしていて。まさに豆腐のお話だと、そういうメニュー開発っていうやり方もありますよね。

嶋野:おいしかったですよね、本当にシンプルに。

尾上:僕も別のタイミングで行きましたけど。フルーツ寿司とか、本当にフルーツの。おもしろかったです。お鍋もおいしいし、新しくて。すばらしかったです。あと、お客さんが若かったですね、みんな。

嶋野:カウンターの寿司屋さんでああやって若い人がいるのって、やっぱり珍しいですよね。

尾上:で、堀川さんのご紹介を続けていきますと。SNS運用を堀川さん単体でやられているっていうわけではなくて。「SNSやりたいな」とか、「こういうことを発信したいな」と思ったのはご本人なんですが、それを相談した相手がいまして。それが、元バイトで働かれていて、今はフリーのスタイリストをされている秋谷麻美さんですね。二人三脚で運用されているという感じで。なので今回のインタビューは、そのお二人に対して行ったということになっておりますと。

嶋野:はい。

尾上:で、堀川さんがこういう状況だからいま突然こんなに話題になったのかというと、全然そんな感じなかったですね。すごいアイデアマンな感じ。

嶋野:たしかに、たしかに。ずっと仕掛けていた感じはありますよね。

尾上:そうですよね。もうお寿司屋さんとして独立されたときから、最初から「何かやってやるぞ」みたいな感じが強くあったという感じで。野菜寿司とかフルーツ寿司って聞くと「話題狙いでしょ」って思っちゃうかもしれないんですけど、全然そんなことはなく。ちゃんと職人さんとしてこれはうまくいくという計算が立ったりしていて。で、実際に僕らが食べておいしかったっていうこともあって。

そういう、無理にアイデア商品を生むとかじゃない感じが、僕は「すごくいいなあ」と、話を聞いて思ったりしました。

嶋野:挑戦している感じというのが、すごく伝わってきますよね。堀川さんは大阪のご出身で、僕も大阪だからすごく思ったのが、大阪のたこ焼き屋ってたまに、ツナマヨたこ焼きとか、コーンたこ焼きとか、いろんなことをやっている店が意外とあったりして。何か変なことをやっているうちにおもしろいものが見つかるみたいな。ちょっとそれと通じるものを感じました。

尾上:アイデア体質だったということですよね。おもしろがらせようという。じゃあどういう流れで、ここらへんのお寿司が生まれてきたのか、というのを伺った部分を、見ていただければと。

堀川:一人で戦うためには、やっぱり人のやっていないこととか、それを出したほうがいいんですよ。今までショーケースに魚を入れていたところを、インパクトを与えるためには、全部野菜にしちゃうと。それもすごく当たりましたね、話題性が強いから。それと、あとはカウンターで鍋食べられる。それが大ヒットして。


日本の食をもう一回考え直したら、要は魚、野菜、果物。これは世界に誇れるじゃないですか。そうすると、去年かな、20代くらいの若いカップルが「シャインマスカットちょうだい」っていうから、それを皿で出したんですよ。そうしたら「握らないんですか」って言うから、「いや握るんですか」って。「じゃあまあ、ほかのお客さんもいないから、握ってみましょうか」と。そうしたらそれがものすごくウケて。それがおいしいっていうから。

 

ネタが並ぶケースには野菜や果物も

 
嶋野:わたしもこのシャインマスカットをいただきまして。

尾上:どうでしたか。

嶋野:やっぱり初めは若干不安を感じるんですけど。食べてみると本当に、ああ意外と合うというか、おいしいってなるんだよね。

尾上:僕が行ったときはオレンジが出てきましたね。

嶋野:合いました?

尾上:合いました。すごいおもしろいなって。あれですよね、お客さんが「握らないんですか」って言うから握ってみたらうまかったとか、そういう感じもいいですよね。

嶋野:なんかそのへんはちょっと、尾上さんっぽいところもありますよね。どん兵衛を何分で食べるかっていうところを見て、取り入れたり。

尾上:そうですね。わりといろいろやってみればいいんじゃないっていう感じは、大事かもしれないですね。

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