メール受信設定のご確認をお願いいたします。

AdverTimes.からのメールを受信できていない場合は、
下記から受信設定の確認方法をご覧いただけます。

×
コラム

デジタルマーケター、校長になる!

学校運営でも必要な「OMO戦略」 リアルとデジタルを駆使した学校説明会を開催!

share

志願者増を目指して学校説明会を開催

2学期が始まりました。9月はなにかと学校行事が多いのですが、この時期には来年度の入学者に向けた学校説明会が行われます。茨城県立の附属中学校や高等学校が、保護者や生徒向けに行うものです。まさに学校をPRするにはとても大切な機会で、各学校は志願者を増やすために取り組んでいます。これもマーケティング実務の経験が生かせることなので、STPや4Pのフレームワークを意識しながら、私は来年に向けて現状分析に取り組んで、来年度の構想を考えています。

私が勤務する下妻一高では、7月29日に午前の部と午後の部に分けて学校説明会を行いました。その内容とは、まずは学校長、進路指導部・探究部からそれぞれ説明をします。そのあとは、下妻一高の特徴を知ってもらうために部活動紹介などを行います。

部活動の紹介はまず初めに、県内では珍しい「弦楽部」による演奏から始まります。バイオリンを片手に堂々と演奏する姿は、清楚で誠実さを感じ、まさに本校の「信頼・安定・堅実」の校風を感じてもらうにはよい機会だと思います。

次に県内でも実力が高い演劇部による学校紹介です。修学旅行や文化祭などの学校生活について、演劇を通じて紹介します。これもユニークさがあります。演劇部は、プレゼンテーション能力が求められ、台本の構成や表現力が必要だと顧問の先生にお聞きしました。演技指導に熱心な先生のもと、日々練習に励んでいますので、演劇部による学校紹介は見事なものです。この演技部の能力は、企業に入ってもプレゼンする時に役立つ能力だと思い、生徒たちには社会でも役立つスキルであることを伝えています。

クライマックスは本校のキラーコンテンツである、応援団部と吹奏楽部。本校を志望してくる生徒の中には、「下妻一で応援団部に入りたいから入学した」という生徒が少なくありません。何回かこのコラムでもご紹介させていただいている、本校応援団の活動は、学校の中でもイノベーター的な役割をしていて、学校全体によい刺激を与えています。まさに今までの固定概念にとらわれず、新しいことにチャレンジしている、アントレプレナーシップ精神を持った部活です。

体育館で開催した学校説明会。

今回の学校説明会では、体育館というリアル会場を使い応援団と吹奏楽による演技披露をした他、デジタルでは、SNSを通じた情報発信をしました。具体的にはInstagramで演技シーンをリール動画で配信したり、その動画をYouTubeでいつでも繰り返し見ることができるようにしています。

またInstagramでは応援団やチアリーダー一人ひとりを紹介。こうした活動を通じて、見た人のエンゲージメントが高まり、為櫻応援団のファンづくりにつなげようと考えているのです。このSNS公式アカウントは、団長自らが運用しています。動画編集や写真加工などを、アプリを使いこなして作成し、SNS用のコンテンツ作成を行っているのです。

私が前職の花王のEC業務で経験していた、自社のコンテンツを自ら発信する、D2Cの店長業務と似たような感覚を覚えます。こういうスキルもEC業界では活かせますね。

デジタルマーケティングでできることは、自分で感じたことを、自らターゲットに配信できることだと思います。応援団のコンテンツは、学校愛や情熱が感じられ、つい応援したくなってしまう内容です。そのおかげで、インスタグラムのフォロワー数も1000名を超えました。SNSのフォロワーは、学校内だけではなく、学校外のファンの方もいます。このSNSを通じてファンになってくれた方も少なくありません。まさにSNSマーケティングの成果が出ていますね。

さらに新しい取り組みとしては、SNS公式アカウントのフォロワー数を増やすため、応援団公式インスタのQRコード入り手配りチラシを作成して、当日会場で配りました。応援団の演技披露の後、来校していただいたお礼と共に、手配りチラシをお渡します。まさにOMO(Online Merges with Offline)施策の実践です。


応援団が作成しているチラシ。
 

リアルとデジタルそれぞれの役割を理解して学校の価値を伝える

このように会場でできることと、デジタルでしかできないことを組み合わせた活動を行っています。リアルは、実際に演技披露を体感できる魅力があり、デジタルは、さらに深い活動を伝えたりすることができます。リアルとデジタルそれぞれの役割を理解して活用し、学校の価値伝達をすることが、学校行事でも大切なのだと再認識しました。

これをマーケティング視点に落とし込んで、先生方や生徒とお話すると、マーケティングに興味を持ってくれる人が増えてきた、と実感できているので、とてもやりがいに感じています。

このように企業で学んだ知識を、学校運営に取り入れることで、生徒や先生方のマーケティングに関する理解がさらに深まったら嬉しいと思います。

advertimes_endmark