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コラム

健康・医療・美容でビジネスをするためのコラム

LOVEソングならぬHEALTHYソング!?——ヘルスケアビジネスは、いつもとなりにずっといる第4回

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【前回のコラム】
健康機能性食品をマーケティングしてみる——ヘルスケアビジネスは、いつもとなりにずっといる第3回はこちら

『生活者ニーズから発想する 健康・美容ビジネス「マーケティングの基本」』
著:西根英一/発行:宣伝会議(2015/3/1発売)詳細はこちら

真実を話しましょう。ヘルスケアビジネスは、もはや規模を誇る大企業や指導的立場にある国だけのものではありません。地方の中小企業も自治体も、下町の食堂も、島に一軒のパン屋さんも、自宅をオフィスにする個人事業主だって、ギター片手のストリートミュージシャンもが、ヘルスケアビジネスをちゃんと始めることができる時代です。

ミュージックの世界に、「恋バナ」(恋の話)を歌うLOVEソングじゃなく、「健バナ」(健康の話)を謳い上げるHEALTHYソングという新ジャンルができるかもしれません。“今週のHEALTHYソング、ヒットチャートです!”みたいな番組コーナーもお目見えするに違いありません。だって、古くは、落語の世界も漫談も、だいたい人の病気や健康や美容をネタに笑ってきたのですから。
僕らの生活は、ほとんど《ヘルスケア》で囲まれています。それくらい、挨拶代わりの話題なのですから、ビジネスできないわけがありません。ヘルスケアビジネスは、「元気してる?」のいつもとなりにずっといます。

その健康行動は、誰のため?

沖縄県庁に「健康長寿課」という課ができました。ということで、次のゴールデンウイークに訪れることにしました。ここの担当者との出会いは、厚生労働省の4階の、ある一室でのこと。エイズ・HIV啓発のための広報手法の講演に呼ばれた時のことでした。各都道府県の行政機関からお役人さんが集まっています。講演も中盤に差し掛かったころ、「アンチエイジング」という曲が会議室に鳴り響きました(正確には、意図的に鳴り響かせました…です)。なかなかHIV検査の受診率が上がらない、あるいは適切な予防行動が浸透しない、という各地区共通の質問に答える「解」として流したものでした。わざわざ大きなスピーカー2台を省内の備品係の方が運んでくれています。まさか、品位を欠く、こんな曲を大音量で流されるとは思ってもいなかったことでしょう。「アンチエイジング 誰のため? 誰のためにうつくし~く♪」から、その曲は始まります。僕がこの曲で示したかったのは、健康行動(治療行動や予防行動や美容行動も含む)は、誰のために?何のために?といった行動の目的化が難しい、ということです。だから、やったり、やらなかったり。やってみたものの、続かなかったり。

歌っているのは、ポニーテールリボンズという男性二人から成るユニット。全国でメジャーデビューはしていません。沖縄を拠点に活動しています。しかし、HEALTHYソングを謳い上げる点では、きっと全国トップを走っています。ロック調の楽曲「アンチエイジング」が、美に邁進する女性を茶化す…、ロシア民謡調の「ぽっちゃりゴルバチョフ」が、メタボ中年男を嘲笑う…、「ちょめちょめクラブ」が、セクシュアルヘルスとは何であるかを延々と説法する…、という具合に彼らの守備範囲は多彩です。

さて、僕は、次回訪問の健康長寿課で、今度は沖縄県庁の会議室に「アンチエイジング」を鳴り響かせることでしょう。「肥満県」の汚名を着せられた沖縄県は、「長寿県」復権に向けて、いま必死こいて頑張っているのです。

次ページ 「何がウケるか?」へ続く