【以前のコラム】
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いったい何を設計するのか?
ゆめのある・しあわせの・きっかけを。
人の健康や医療行為、美容に寄与するヘルスケアビジネスは、こんなキラキラな言葉にはじまるビジネスである。金銭的な価値を生み出すだけでなく、人の健康や美容の悩みを解決するという「社会的価値」を生みだすCSV(Creating Shared Value、共有価値の創発)という考え方と親和性が高く、これからますます注目されることは間違いない。
そんなヘルスケア領域のビジネスを成功させるために必要な設計図に描くのは、モノ/コト/ハコ/ヒト。それらをそれぞれ、商材/課題/市場/顧客と当てはめてみよう。すると、こうなる。
(1) モノの設計図とは、BRAND+ing(商材づくり)のこと
(2) コトの設計図とは、ISSUE+ing(課題づくり)のこと
(3) ハコの設計図とは、MARKET+ing(市場づくり)のこと
(4) ヒトの設計図とは、TARGET+ing(顧客づくり)のこと
これを丁寧に教えますよ、というのが、3月12日に東京の青山で予定されている宣伝会議「ヘルスケアマーケティング実践講座」の狙いだ。僕も講師をする予定だ。
さて、本題に入ろう。
「商品開発」のことをマーケティングと呼んだり、「市場調査」を指してマーケティングと呼んだりするようなマーケッターは、みんな、BRAND+ingとTARGET+ingに必死だ。
本来の「市場創造」を目途としたMARKET+ingは極めてお粗末だし、ISSUE+ingにいたっては、ほとんど気にも留めていないご様子。でも、ヘルスケアビジネスで最も重要なのは、おそらくその存在にすら気づいていないISSUE+ingなのである。
『生活者ニーズから発想する 健康・美容ビジネス「マーケティングの基本」』
著:西根英一/発行:宣伝会議(2015/3/1発売)詳細はこちら
ちまたで「健康ビジネス」とざっくり呼ばれている、このヘルスケアビジネス(治療・予防・健康・美容ビジネス)は、その消費行動を取り上げて「誰のために?」「何のために?」と消費者に問うたところで、明快な返答を得ることが難しい。運動するにしたって、食生活を改善するにしたって、禁煙にしたって、睡眠にしたって、「自分のため」で「健康のため」になんていう答えが常套句で返ってくるだけだ。でもこれは明らかに詭弁だし、いい人ぶった戯言にすぎない。だから、「やる!」とか言っておきながら、すぐやめる。ダイエットに成功しても、安心したところで、リバウンドする。だって仕方ない、目的意識がもともと希薄なんだから……。
ほら、そこが問題なのだ。この「仕方ない」を根本から変えるのが、ISSUE+ingという課題づくりの設計図だ。「自分のため」+「誰かのため」、「健康のため」+「何かのため」を設計する。設計図から、ISSUE+ingを除けて描いてしまったら、ゆめのある・しあわせの・きっかけとなるような絵は、決して描けない。つまり、ヘルスケアビジネスでは、ISSUE+ing(課題づくり)なくして、消費行動(治療行動、予防行動、健康行動、美容行動)に歓びは生まれないのだ。
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