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コラム

AdverTimes DAYS 2015

顧客の価値を創造するには?コーポレートブランディングとプロダクトブランディング

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<パネラー>

  • 花王 デジタルマーケティングセンター センター長 石井 龍夫 氏
  • ユニリーバジャパン・カスタマーマーケティング マーケティング・ダイレクター ヘア-ブランド・ビルディング 中川 晋太郎 氏

<モデレーター>

  • 宣伝会議』編集長 谷口 優

データやロジックに裏打ちされたコーポレートブランディング

——コーポレートブランディングとプロダクトブランディングとの関係性について、お二方のお考えをお聞かせください。

花王 デジタルマーケティングセンター センター長 石井龍夫 氏

石井:現在はデジタルマーケティングセンターという部門で、デジタルの軸で各プロダクトブランドを横断的にサポートする立場にいますが、ヘアケアブランド「ASIENCE」の立ち上げに関わるなど、以前はブランドマネージャーとしてプロダクトブランドをつくってきました。当時は担当するブランドのことだけで、コーポレートブランドのことはあまり考えていませんでした。日用品のカテゴリーにおいて日本ではトップ企業であり、ブランドの知名度も高いため、各ブランドが売れれば問題ないという状況だったからかもしれません。ですが、海外に目を向けると、当社よりも大きなシェアを占める企業が何社もあり、これに対抗していくには、各ブランドが個別にマーケティングしているとコスト面での効率が悪く、コーポレートブランドという器の中に価値を蓄積していくことによって、各プロダクトブランドを支援する形にしなければいけないと思うようになりました。

ユニリーバジャパン・カスタマーマーケティング マーケティング・ダイレクター ヘアーブランド・ビルディング 中川晋太郎 氏

中川:私は、コーポレートブランディングを考えるときに、バックエンド側とフロントエンド側の2つの側面があると考えています。例えば、ブランドのコンセプトをつくるときに、どういう枠組みで考えると効果的・効率的かということや、どういうメッセージが消費者の心に響きやすいかといった知見の蓄積は、商品のブランドやカテゴリーを超えて活用でき、バックエンド側で非常にプラスに働くと思います。当社でもグローバルでそれを専門にしているチームがいます。一方で、消費者との直接的な接点があるフロントエンド側では、各プロダクトブランドで売上責任を負っている人間がいて、どこまで自由にできるのかという問題があります。消費者に与えるイメージはグローバルでも一貫性がなければいけませんが、国によって、色の持つ意味や人の琴線に触れるコミュニケーションが違っていたりするので、議論をしながら決めています。

——最近よく話題に上がるCMOについてですが、お二方の企業にはいらっしゃるのでしょうか。

石井:日本の会社はCMOというポジションが存在しないことが多く、当社にもそういうポジションはありませんが、デジタルやリサーチ、マーケティング開発のセクションにそれぞれのセンター長がおり、CMOの機能を分担しています。これは、分担しなくてはならないほど、CMO職に期待される能力は広範であることを示しています。また、従来はマーケターそれぞれの知見やスキルでマーケティングを行えたのですが、最近はお客様の嗜好も細分化の傾向にあるので、数多くの接点からデータを蓄積・解析し、データをもとにお客様それぞれの実態と適切な戦略・戦術を提案できるCMOの存在はますます重要になってくるでしょう。

中川:当社は逆にCMOはいますが、マーケティングと広報のヘッドオフィサーで、マーケティングの枠組みや進め方の統一化、効率の向上を担っています。

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