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コラム

広告の未来の話をしよう。COMMUNICATION SHIFT

丸原孝紀さんに聞く(前編)「ホットパンツで革命を」

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東急エージェンシーのコピーライター丸原孝紀さんをはじめて知ったのは、雑誌「ブレーン」の「広告で社会にいいこと!」特集で、いっしょに取り上げていただいたのがきっかけでした。

その後、ツイッター上では、@ecogrooveの名前で社会問題について積極的に発信していることを知り、その後、ワールドシフトフォーラム(今年も、11月18日に国連大学で開催します)の打ち合わせで顔を合わせて……と、なんどか出会ううちに、会社は違っても、「同志」のような感覚を持つようになりました。

丸原さんを一言でいえば、「広告の世界で、社会問題に最も深く切り込んでいる存在の一人」。
広告の世界が、何角形かだとしたら、いちばん尖った角に立っている人。

広告の未来の話をしよう。COMMUNICATION SHIFT

第5回は、丸原孝紀さんです。

丸原孝紀 プロフィール
1976年京都生まれ。東急エージェンシー コピーライター(東京コピーライターズクラブ会員)。企業に社会貢献型のコミュニケーションを提案するとともに、NGO/NPOのクリエイティブを積極的にサポートしている。モットーは、「書き続ける。この世に言葉と問題がある限り。」環境系の主な仕事に、R水素ネットワーク、LOVE!ハイロキャペーン、MAKE the RULE、チョコレボ、フェアウッド・パートナーズ、水Do!、エコロギフトなど

コピージャーナリスト、という気分です。

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並河:今日は、よろしくお願いします。もともと、丸原さんは、いつ、どんなきっかけで、社会問題に関心を持つようになったんですか。

丸原:最初は911のニューヨークテロがきっかけでした。「一体何だ、これは?」と衝撃を受けて。それから世界の問題を調べていくと、資源をめぐる争いや、環境の問題、いろいろな問題が見えてきたんです。

でも、世の中の人の多くは、そうした問題に対して、圧倒的に関心がないので、できるだけ分かりやすく社会問題についての知識を噛み砕いて伝えることを、自分のブログではじめたんです。コピーの力を使ったジャーナリスト、コピージャーナリストですよ。

並河:その頃から、ecogroove という名前で発信をはじめたんですね。

丸原:その延長線上として、プロボノ(スキルを生かしたボランティアのこと)で、いろいろなNGOのコミュニケーションを手伝うようになったんです。

チョコレートを通じて、世界の児童労働や環境についての問題をみんなが考えるきっかけをつくる「チョコレボ」のキャンペーンが最初で、その後、「MAKE the RULE」ではCO2削減の制度づくりを呼びかけ、「R水素ネットワーク」では再生可能エネルギーの可能性を伝えて、とだんだん広がっていきました。

並河:コピーの力で「社会的問題を、世の中に伝える」ということですよね。

丸原:環境活動って、ともすると極端な方向にも行ってしまうけれど、でも、ほんとうに大事なのは、そうした活動を、一部の人間の取り組みじゃなくて、「あたりまえ」にするということ。だから、世の中に、ちゃんと届くようにしなくちゃいけない。僕がやっていることは、尖った環境活動をしている人たちの、「通訳」だと思っています。

広告をやっている人は、人が困っていることや、他人の問題に対する共感が大きいと思う。

丸原:環境のことを突き詰めていくと、One Love、つまり、地球サイズの大きな愛に行き着く。人のことを、人ごとに思えなくなる。そういう部分って、実は、広告をつくる人たちのマインドにすごく近いんじゃないかって思うんです。

広告は、一言でいえば、クライアントの幸せを、自分の幸せにして、いっしょに成功して、報酬を分かち合うという仕事。たぶん、自分は、広告の仕事をしていたから、人が困っていることや、他人の問題に対する共感が大きくなっていたんじゃないかと思います。広告の仕事をしていなかったら、もっと自分勝手だったかもしれない。

並河:それは、広告の仕事をしているとそうなるのか、それとも元々、広告の世界にそういう人が集まってくるのか。どっちなんでしょうか。

丸原:きっと、広告の世界に集まってくるんですよ、おせっかいなやつが(笑)。クリエイターで、いままで社会問題の解決に興味がなかった人も、いったんスイッチが入ると変わりますよね。

広告に関わっている人って、もともと共感性の幅が広いから、それがさらに広がって、消費者やクライアントにとどまらず、社会にまで広がる可能性がある。

「社会まで愛しちゃった」って、ある日突然、なるかもしれない。そういうところに、僕はとても可能性を感じるんです。

後編に続きます。

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