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コラム

熱狂を創りだすリレーコラム 「Advertising Week Asia 2016」開催記念

日本の広告会社が真のグローバル企業として世界と渡り合うために何が必要ですか?

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2016年にアジア初として東京で開催される「Advertising Week Asia 2016」を記念して、広告業界のタブーに挑戦する特別コラムを実施。同イベントのアドバイザーにAdverTimes編集部からの質問に答えてもらいました。第6回は、TBWA\HAKUHODO代表取締役社長兼CEO 佐藤雄三氏に「日本の広告会社が真のグローバル企業として世界と渡り合うために何が必要ですか?」と聞きました。

TBWA\HAKUHODO代表取締役社長兼CEO 佐藤 雄三 氏
博報堂での自動車、電機・IT、消費財など多業種・多業界に渡るアカウントサービス、メディアサービス職を経て、2006年TBWA\HAKUHODO設立と同時に、執行役員兼メディアマネジメント局長に就任。その後、CFO、日産ビジネスユニット長を歴任。オムニコムグループのグローバルユニットであるNissan Unitedを牽引。オムニコム・ユニバーシティーや博報堂のビジョン策定委員などで広告会社の次世代ビジネスモデル立案に参画。2015年4月に代表取締役社長兼CEOに就任。Campaign誌のJapan/Korea Agency Head of the Year 2015に選ばれる。

■質問
日本の広告会社が真のグローバル企業として世界と渡り合うために何が必要ですか?

■回答者
TBWA\HAKUHODO 代表取締役社長兼CEO 佐藤 雄三 氏

私は現在、博報堂とTBWAワールドワイドのジョイントベンチャーであるTBWA\HAKUHODOの社長を務めています。TBWAワールドワイドは、T、B、W、Aをイニシャルに持つ、経歴も国籍も異なる4名により設立された、いわば最初から多国籍視点を持ってスタートした企業です。そんなユニークなネットワークの一員としてビジネスを行ってきた経験に基づき、組織体制、企業姿勢、人材の3つの観点から日本の広告会社が真のグローバル企業になるために必要な要素について考えてみます。

真のグローバル企業は明らかな国籍を持たない

日本の広告会社は、クライアントである日本企業が海外に拠点を持つことに伴って、そのサポートのために海外に拠点を築いてきた歴史があります。しかしそのクライアントの多くが、今では社長も日本人ではなくなったり、英語を公用語としたり、ビジネスの拠点も海外が中心になったりと、日本企業から真のグローバル企業に生まれ変わりつつあります。それなのに広告会社だけが、“日本の”広告会社という枠から抜け出せていないように思えます。

その理由のひとつとして、国籍、つまり日本を本拠地とすることにとらわれ過ぎて、ネットワークとして機能する力が弱いことが考えられます。ネットワークとして機能するということは、プロジェクトごとに、リーダーとなる人や組織を変え、協業する相手と直接仕事を進められる体制を持つことだと思います。

そうすれば、本社がハブとなって各拠点からの情報を吸い上げてまた指示を出すよりも効率的に業務を進めることができます。そのような体制を持つ企業で働く社員は、そもそもどこが本社だという感覚すら持たないかもしれません。各拠点の採算や、本拠地へ利をもたらすことを優先するのではなく、ネットワークとしての価値向上を重要視して人材の交換も活発に行う。そんな企業こそが、真のグローバル企業といえるのではないでしょうか。

常に本社を中心に考える企業は、どんなにたくさんの拠点を海外に持っていても、アメリカ企業、イギリス企業、中国企業、日本企業というような明らかな国籍から脱却できないのだと思います。

つまり、世界各国の拠点がネットワークとして有機的に機能するかどうかが、真のグローバル企業と、単に海外拠点を持つだけの企業との違いであると言えそうです。

各拠点がネットワークとして機能すると、拠点の数だけ、足し算ではなく掛け算で企業価値を高めていくことができると思います。日本を含めて各拠点にはそれぞれ強みと弱みがあると思いますが、拠点同士がネットワーク体制を強化することで、弱点を補完し強みを最大化できると考えています。

次に、もう少し内面的な観点から、真のグローバル企業の特長について考えてみます。

次のページ 「グローバルイシューにチャレンジしてこそグローバル企業」へ続く