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コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

福里真一×木村健太郎×小西利行「商品と人生の間と書いて、広告と読む」

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美意識が“異常事態”!?アートディレクションされた世界の強さ~「伊右衛門」のCM

「お茶の言葉」篇 60秒(2014.4)

伊右衛門夫妻のシリーズ10周年を記念するCM。

小西:僕からは伊右衛門のCMの紹介を。これは贅沢微糖のCMと真逆の様式美がテーマです。11年前からずっと夫婦愛を描いていますが、当初は男性が外で苦労してるのに家に帰っても奥さんに虐げられる悲しい時代でした(笑)。だから家に帰ってお茶を飲むときぐらいはホッとしたいというインサイトを突こうと。そこで “男を陰で支えてくれる昔ながらの女性”を描いていたんです。でも現在は、変わってきてますね。『半沢直樹』じゃないですが、女の人が背中をバーンと叩いて、「頑張りなさいよ!」と言ってくれるような感じが理想の妻像になってきている。2人の関係も、時代に合わせて変革していく必要があります。

福里:発売当時、一番すごいと思ったのはこの商品名です。今までのお茶は「○○茶」みたいな名前だったのに、「伊右衛門」でいける!と判断したのがすごいなと。CMのキャラクターでそのまま伊右衛門という人物が出てきたときは「上手いことやるな」と思いましたね。

小西:実際、世に出すまではハラハラでしたけどね。実際、僕、発売初日にキヨスクで「伊右衛門ください」って気恥ずかしくて言えなかったんですよ。でも、横のおばちゃんが普通に言っていて。世の中的には、一度世の中に出てしまえば、変わった名前でも、普通になるんだなと思いましたね。

福里:プランナーから見るとこういうCMはつくりにくいですね。プランナーの出番がないというか。変にオチがあったりとか、ひねりもなくて、ワンシーンごとに丁寧に計算された、まさにアートディレクションされた様式美の世界ですからね。

小西:永見浩之さんの世界観に、永井一史さんのアートディレクション、そして、カメラマンの上田義彦さんの画力も加わって。このCM、本当に美意識が“異常事態”なんですよ。そこに支えられている部分がかなりあると思います。普通、時代劇の世界観の中にペットボトルが出てくるって不自然なんですが、それを成り立たせてしまう画力がある。伊右衛門のCMを経験して、画や音でカバーできる領域って実はすごく広いんだと学びました。

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