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コラム

【閲覧注意】鬼ムービーのガチすぎる動画教室

話題沸騰のネタを連発している日清食品さん、その秘訣、教えてください!

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カップヌードルをぶっつぶせ! ブランドファイティングで切磋琢磨

—次々とヒットを連発できる要因は、どこにあるのでしょう?

ほぼ毎週1回、社長と宣伝部との定例ミーティングが設けられており、細かく報告し、議論を重ね、その場で即決されることが多々あります。特にユーザーとのタイムリーなコミュニケーションが必要とされるWEB企画は、この体制によるところがあるかもしれません。

ただ、話が早い半面、我々にとっては毎週、社長プレゼンを行うことになるので、現場は必死で臨みます。なぜこれが面白いのか、この文脈である必要性は何か、などを裏づけるデータや資料を揃えて、社長と徹底的に議論するんです。私たち現場には、現場なりにつくりたいものがありますが、議論を通して企画が磨かれる部分もあります。

また、以前は、ヒットの着火点から遠いところから企画がスタートし、少しずつ寄せていくというアプローチをしていましたが、最近では、「この文脈ならいけるだろう」という、発想のスタート地点が少しずつ近づいてきたように感じています。

的外れなところから寄せていくのではなく、ある程度、出来上がったものが「そこそこいけるのではないか」「早く世の中に出したい」という感じになってきたので、世の中のスピードにも合ってきたというか、世の中を捉える打率が上がってきたのかもしれません。

—ブランド同士で狙いがかぶったり、スケジュールがバッティングしたりしないのですか?

ありますね(笑)。でも、チキンラーメンでこれを出すなら、U.F.O.ではやめておこう、といったことはしません。もともと当社の「ブランドマネージャー制」は、ブランド同士が社内競争することがベースになっています。

現在、頂点にあるブランドはカップヌードルですが、「カップヌードルをぶっつぶすブランドをつくりなさい」というのがブランドマネージャーに課せられた使命なんです。この真意は、カップヌードルを追い越すようなブランドが生まれてこなければ会社は続いていかない、ということなんです。

だから社内でしのぎを削り合っています。チキンラーメンが面白いことをやるならU.F.O.はそれより上に行こうとするだろうし、カップヌードルでやろうものならどん兵衛でも、ということになるんです。そういう企業文化があるので、ブランド間での調整は一切ありません。チキンラーメンが盛り上がったら、他のブランドの担当者は本気で悔しがるくらいなんです(笑)。

もちろん、仲が悪いというわけじゃありません。より効率的にできるように、どのメディアでどんなふうに仕掛けるといいのか、などの知見は、月一回の定例会でシェアしているので、連携しつつ、競い合っているという感じです。

日清焼そばU.F.O.の往年のキャラクター・ヤキソバンが復活する動画シリーズより。

「実現力」の糧は、「熱意」しかない

—週一の社長プレゼンにブランドマネージャー制度…、かなりハードですね。みなさん、どんな「熱量」でそれに取り組んでいるんですか?

世の中からのリアクションや、広まった時の達成感が「原動力」ですかね。実感しやすいのがTwitterで、どんどんシェアされてリツイートが広がっていくのが見えると、やはり「よかったな」と思います。後から、どういう言葉で広がったのかを検証すると、狙った通りのポイントでツッコんでもらえていることもあれば、意外な文脈で広がっていることもあって、それが楽しいですよね。逆に、「そこそこ、だったね…」という時は、報われなかったなと思ってしまいます。

—日清さんを見ていると、その「実現力」に驚きます。世の中に出す「勇気」にも脱帽するというか…。何がそれを支えているのですか?

あえて言うなら「担当者の熱意」ですかね。

個人的には、その企画が十分に議論されたか、というのもよりどころです。私一人では何もできないので、つくり手の方々と一緒になって取り組めているか、そもそも、つくり手の人たちに面白がってやってもらえているか、という視点も大切にしています。

企業然としてオリエンし、上がってきた企画に対して、面白いか面白くないかという指摘をするのではダメなんです。「もっと面白くならないか?」「これはこうやったほうがいいんじゃない?」ということを一緒になって話し合い、「やっぱり、ここはこだわったよね」という部分を最後の最後まで、担当者自身が意識していることが、非常に重要だと思います。

すごくアナログですが、戦略がどうこう言う前に、原点となるのは、つくり手側・出し手が、伝えたいメッセージとともに、ちゃんと楽しんでいるかどうかが大事だと思うんです。自分が楽しくないものは、人に伝えたいと思わないはず。人に伝えたいということの根底には、何かそこに伝えたいメッセージや、自分が面白いと思う何かがあるはずです。それがないものは、そもそも広がっていかないと思います。

「人にやらされてる感」「言わされた感」「時間がないからシブシブやった感」、それではいいものは生まれません。「ない、ない」という言い訳だけでできた作品より、「時間がないけれど、その中で何ができるか」という苦労をしたり、工夫をしたり、時間やお金の制約を超えることができた時ほど、よい結果が生まれているように思います。

なんといっても「熱量」。個人的にはその部分を大事にしていますね。そうすれば、スケジュールがタイトでも、調整が大変でも、その「熱量」で乗り切れますし、逆にその「熱量」が弱ければ、ワクワク感も伝わらないと思います。苦労しただけ、その「熱量」の甲斐は出てくると思います。

東さん、ありがとうございました!

自己満足でなく、世の中での反応を突き詰める姿勢は、前回のパナソニックさんとも共通する部分だと感じました。やはり、継続的にヒットを飛ばしている企業には共通点があるんですね!

ロングセラーとして愛され続けたり、話題をつくり続ける陰には、企業としてのしかるべき体制はもちろん、なんといっても担当者の「熱量」があって、それこそがカギを握っていることを痛感しました。日清食品さんに限らず、企業の方々はみなさん、強い想いと覚悟を持って、商品やサービス、キャンペーンやコンテンツを世に送り出しているのだと、改めて実感し、背筋が伸びました。

僕たちもひとつひとつのアウトプットに「覚悟」をもって、「真摯に」向き合っていかねば、です。日々精進します!