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注目高まる行動経済学「コントロール幻想」で購買意欲を高められる!?

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とにかく相手に決めさせる

あえてこのバイアスをマーケティングに利用するとすれば、「相手に前向きになってもらい、より参加を促したい」という動機に使えるかもしれない。つまり、参加を促したい相手に、「自分でコントロールすることができる」と“感じさせる”仕組みを提供すればよいのだ。

先の事例のように、キャンペーン応募にも「4桁を本人がインプットする」、「スクラッチカードを10円玉でこすらせる」という仕組みがあるだけで、(当選確率を自分がコントロールして上げられると感じられることが動機となり)応募が増えるかもしれない。

消費者、お客さまなど、相手が自分で決める(あくまで決めていると”感じさせる”)余地をどこまで準備するかによって、同じ内容でも相手の動機を引き出す度合いが変わってくるということである。

ただし、理屈とは別に、現実的な他の影響も考慮しておきたい。応募者に勝手に数字を決めさせると、同じ番号を複数人が記載することが起こり得る(主催者が通し番号を準備する場合にはこれは起こらない)。

仮にその番号が1等当選となれば、主催側にとっては想定コストを大幅に超える大問題が発生しかねない。このように、「選ばせる」ことによる逆サイドの問題点も予め想定した設計をお忘れなく。


マーケティング専門誌『100万社のマーケティング』では、柏木吉基氏による連載「行動経済学でわかる非合理な消費者のホンネ」を掲載中です。

マーケティングの実務に役立つ知識として「行動経済学」に注目し、そのエッセンスを毎号、わかりやすい事例を交えて紹介しています。

過去の記事の一部は、アドタイでご覧いただけます。
「プロスペクト理論」:人は「失う恐怖」に弱い
「フレーミング」:「モノは言いよう」で結論が変わる
「属性フレーミング」:言い方ひとつで「評価」の主導権を握れる