そんな『コピー年鑑』をテーマに、本コラムではTCC会員であるコピーライターやプランナーが執筆。第12回目は、宝島社の企業広告などを手がけられた三井明子さんです。
コピーライターに憧れて、紆余曲折の末にやっとのことでコピーライターになりました。そんなわたしは、以前からずっと、とってもミーハーな感覚でコピー年鑑にふれてきました。ついつい注目してしまうのは、掲載作品そのものではなかったりします。
真っ先に読むのは、受賞コメント。意外な制作秘話、プライベートなエピソード、感謝の言葉などなど、みなさんの肉声を聞くことができる感じがたまりません。素敵なコピーを手がけられるかたは、やっぱりコメントも素敵だなあとうっとりしたり。思わず受賞コメントを写経したこともありました。(受賞者全員のコメントを読めるのは、コピー年鑑だけです!)
そして、受賞者のお写真。ちょっとロックなコピーを清楚なイメージのかたが手がけていたり。高齢者のインサイトを捉えたコピーを若々しいかたが手がけていたり。そんな意外性に出会うとニンマリ。このかたは、このコピーをどうやって手がけられたのだろう……などと、お写真から勝手に想像をめぐらせたりします。
そしてそして、スタッフリスト。あ、こっちの広告も同じスタッフだ!とか、同じシリーズでも監督がちがうから印象がちがうんだーとか。マニアックな発見や興味が広がります。
さらには、索引でスタッフから作品を調べることができることも、コピー年鑑のうれしいところ。リスペクトする広告を手がけたあのかたが、他にどんな広告を手がけているかを知っては、驚いたり、納得したり、(とてもかなわないなと)絶望したり。
以前のコピー年鑑には、受賞者の出身校や生年月日などの情報も掲載されていて、視線はそこにばかり向かいました。お会いしたこともないコピーライターのかたがたへの憧れが膨らんだり、劣等感を大きく刺激されたりしていました。
こんなミーハーな気もちでも、コピー年鑑にふれていくと、しぜんとすぐれたコピーについて知っていきます。結果、励まされることも打ちのめされることもありますが、大きな読後感としては、自分もがんばろう!となっていきます。
コピー年鑑は、本来匿名の広告制作者のことを、まとめて知ることができる一冊。広告好きとしては、とてもとても貴重な一冊です。厚さや価格のインパクトから、高尚なイメージがありますが、ファンブック感覚でたのしんでみてはいかがでしょうか。
三井明子 みつい・あきこ
TCC2006年入会
静岡県出身。武蔵野美術大学短期大学部卒業。中学校教員、化粧品メーカー宣伝部などを経てADK。おもな仕事に宝島社、味の素、早稲田アカデミー、オンワードなど。著書に『マイペースのススメェー』(パイインターナショナル)など。こんなに浅い感じでしかコピー年鑑の紹介ができないわたしについては、こちらのnoteをご覧ください。
※六本木「文喫」にて「ことバー Presented by TCC」が開催中です。
開催期間:2022年4月27日(水)~6月5日(日)
営業時間:9:00~20:00(L.O. 19:00)
観覧料:入場無料
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『コピー年鑑2021』東京コピーライターズクラブ (編集)
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