アップルジャパンは先月、「iOS4.2」を発表した。「iPad(アイパッド)」がマルチタスクに対応するという、私が楽しみにしていた機能を搭載しているのが特徴だ。一つの処理が行われている間に他の処理も同時に進められ、待ち時間を減らして効率を格段に上げることができる。
ウィキペディアによると、マルチタスクとは「コンピューターにおいて複数のタスク(プロセス)を切り替えて実行することができるシステムのこと」である。コンピューターの世界で使われるこの言葉が、最近ではライフスタイルに入り込んでいると感じている。
例えば、現在筆者は自宅でこの記事を執筆しているが、パソコンのワープロソフトを立ち上げ、インターネットのブラウザーで調べ物をしながら、iPadではツイッターのタイムラインをチェックしながらテレビもつけて気になる情報があると見るという、まさに「マルチタスキング」を実践している。
女性の社会進出が進み、主婦と仕事、母親のマルチタスクを行う人の一人として、経済評論家の勝間和代氏を思い浮かべる人も多いだろう。彼女は、テレビなどマスコミ出演や講演のほか、出版やツイッター、フェースブックも使いこなして情報発信する、まさにマルチタスキングの代表といえる。
「イクメン」と呼ばれる、育児に積極的に関与する男性も増えてきている。筆者のスタンフォードMBAの後輩でもある湯崎英彦・広島県知事は、第3子となる次男の出産により、10月26日から一カ月間の育児休暇をとり話題になっている。堀江貴文氏もマスコミ出演や講演や著作だけではなく、舞台への出演やメルマガ発行、ツイッターなども使いこなしマルチに活躍している。そして、このようにマルチタスキングを行う人たちに人気が集まるのも、マルチタスキングを許容する世相といえるのではないだろうか。
仕事の現場でも、会議に参加しながらPCやスマートフォンを操り、ツイッターのタイムラインで「リポート」をする人たちも増えている。パネルディスカッションなどのシーンでも、登壇者が参加者の反応や質問を見ながら進めていることがある。私も、会議などではまず、電源を確保しパソコンをフル参戦させることが多い。
このような光景は、数年前まではあまり考えられなかったことだ。ただ一方で、会議の内容や参加者によってはパソコンでマルチタスクを行うと失礼になる場合がある、特に参加者の少ない場合やキーボードを打つ音は以外に耳につくものであるので気をつけるべきだ。このように、マルチタスキングにもマナーやルールが必要になるので、主催者があらかじめ参加者に告知するといいだろう。
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