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コラム

企業トップが語る“次世代リーダー”の育て方

「存在意義はユーザーに支持されているか? 組織としてお互いを補い合うことが大切」 ——ヤフー執行役員 宮澤氏に聞く

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万能の花形プレイヤーより、適材適所でいいところを伸ばす

——生活をより豊かにする発想を促すために行っていることなどありますか。

新しいことに挑戦することを歓迎する雰囲気をつくっています。これはとても大切だと思っていまして、そうした雰囲気の中で「もっと豊かになるように考えよう!」と呼びかけると、本当にいろいろな発想が出てきます。「豊か」という定義が人それぞれな分、アイデアもたくさん出てきて、その中から「もっともユーザーに受け入れられそうなものは何か?」ということをどんどん深掘りしています。

それと、私はとにかく良いところをほめるようにしています。それこそ、「それは素晴らしいね」が口癖になるくらいです。人には良いところ、悪いところ、それぞれ個性があって才能があります。その才能をいかに伸ばしてあげるかというのが一番重要だと思っています。もちろん、不足しているところもありますが、そこは組織で補えばよいのです。

私がベンチャーの社長だった時は社員も少なかったので、「全員が花形プレイヤーであるべき」と考えている人が多く、私自身もそうした傾向が強かった。しかし、大組織にはいろいろな個性の人がいて、そんなに完璧な人を集めるのは難しい。それなら、良いところを伸ばしてもらって、足りないところを誰かに補ってもらう。それで組織としてちゃんと成果が出るようにするというスタンスで考えています。

当社では、評価についてはかなり多面的なフィードバックをするようにしているので、自身はもちろん、周りの人にも自分の強みとか弱みが割と認識されていると思っています。

——ベンチャーと大きな組織における人材の考え方の違いについて、もう少し詳しく聞かせてください。

ベンチャーは、少ない人数で大企業と伍して戦えるだけのバリューを生むため、一人ひとりにかなり無理がかかります。なので、総合的な能力が相当高い集団でなければ難しいと思っていました。しかし、大企業になると「この大きな組織の力を全て使ってどれだけのことができるのか」という発想に変わる。そうすると、人材についても適材適所で足りなければ補うという発想に転換しました。

企画・発想力を養う研修を定期的に実施

——ほかに、例えば研修といったことなどあるのでしょうか。

研修は定期的に行っています。ヤフーは大きく企画職と開発職に分かれるのですが、開発系については、何ができるのかというのが技術レベルでクリアになるのでやりやすいんです。しかし「企画ができる人」というのはすごくあいまいです。ただ、企画の力が世の中を変えることもたくさんあると思うので、「いかに企画力高めるか」はとても大事だと思っています。

そこで、企画系の研修については、例えば、アイデアがどう生まれるのかを深掘りするために、玩具メーカーにて1人で100個ぐらい商品化した開発者の方から発想法を聞いたり、テレビで長く続くヒーローものの番組のプロデューサーに来てもらい、企画の考え方や、グッズなどを作るメーカーの巻き込み方などを聞いたりしています。

あとは、レゴを使った研修も行ったことがあります。「あなたが作りたいサービスをレゴで表現してください」として、チームで取り組みます。最初はサービスに関連するモノを作ってしまうのですが「もっと抽象化してみて」と、話し合わせたうえで、再度取り組むと、サービスで実現したい世界を作ったりする。そうすると、「こういう世界にいけるようなサービスになるには」と発想が広がります。また、チームで取り組むので、対話が生まれ、チームワークが生まれるのも良い点ですね。

——スタッフに対して、もっとこうなってほしいと思うことはなんでしょうか。

ヤフーのような規模の大きいサービスになると、どうしても組織の中を見て内向きに仕事をしてしまうことがあります。もちろんその方が、仕事が進みやすいことがあるのも事実ですが、社外環境の変化は非常に速いですから、もっと外に対してきちんと目を向けてほしいですね。

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