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コラム

電通デザイントーク中継シリーズ

「アンチ・デザインシンキング」-輸入した考え方に踊らされないための方法論-坂井直樹×倉成英俊【後編】

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「雑談」が重要になる

倉成:坂井さんは最近、何か気になることはありますか?

坂井:ヒースローにあるSIMカードの自動販売機が気になっています。SIMカードを買って使っていて、容量が足りなくなると「そろそろ買いませんか?」というお知らせがメールで来ます。そんな自動販売機とショートメッセージだけを使ったビジネスモデルは、他の業態にもたくさん応用できるのではないかと思っています。

人とまったく会わずに、何かを記入する面倒くささもなく、優れたモデルになる気がします。そういう、今までとまったく違う組み合わせに「もの」を売っていくチャンスがあると思うのです。

倉成:そうかもしれません。僕からも、ひとつ。「それってコンセプトかよ?」と言われるかもしれませんが、世の中から「雑談」が絶滅寸前だと思うのです。もちろん効率も大事ですが、雑談や無駄話も、人生や仕事にとって重要ではないでしょうか。

坂井:ロンドンに「citizenM」というホテルがあるのですが、1階で24時間食事ができて、バーもあって、そういう雑談コーナーがやたらとあるのです。パソコンやミーティングルームも充実していて、2階から上の客室に2万円ほどで泊まれるのです。客室はベッドとシャワーしかないけど、デザインがしっかりしているから、日本のビジネスホテルのように貧しい感じはしない。このホテルのように、共有スペースはラグジュアリーで、宿泊施設はミニマムという方法が主流になりつつあります。

倉成:その流れに、すごく共感します。雑談はすごく大事だと思うんですよね。Bチームになぜいつもゲストで来てくれるのか、社内外の人に常々、聞くんですけど、みんな雑談が面白いからと言うんです。坂井さんも毎月、雑談をするために来てくれていますよね。

坂井:雑談が面白いし、やっぱり1次情報を聞くチャンスはそんなにないんですよね。モバイル上に情報があふれているけど、みんな2次も3次も4次もと、加工されている。

倉成:最近、僕が気になっているのは「アレ俺詐欺」。みんな面白いことを発想したり、創造したりするクリエーティブな仕事をしているはずなのに、広告賞を取った途端に「アレ、俺がやった仕事なんだぜ」と一斉にアピールしている。

自己PRや賞や単にクリエーティブ業界でサバイブするためじゃないはずです。アイデアで面白いことしたり、誰かを助けたり、あわよくば世界や人類のためになることをする、などなどあると思います。なぜ自分がクリエーティビティーを使って働きたいのか、真面目に考えないとダメじゃないかと思うのです。

うのみにしない。何のために知恵を使って働くのかということを、もう一度、きちんと突き詰める。今日は、坂井さんとそんなクリエーティブ周りのメッセージを共同で出したかったんです。

「デザインシンキングがはやっているから」「エスノグラフィーがはやっているから」とパクるのではなくて、勇気を持って独自の進化を遂げていこうよと言いたいのです。「他人のふんどしで二匹目のドジョウを狙うのは禁止」です。坂井さん、イノベーティブな組織はどうすればできますか?

坂井:メンバーの中に、ひとりでも「いかれたイノベーター」が存在すればできます。

倉成:それじゃあ、ますます勇気をもって「いかれ」ていかないとですね(笑)。

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