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コラム

48歳のピボット・ターン 〜広告会社のCDが、テックベンチャーに入ったら〜

その会社は、ユニコーンと呼ばれていた

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社会の分断に挑むテックベンチャー

アメリカ版スマートニュースの、大統領選挙の時期のUI。
同じトピックを、リベラル/保守のメディアがどう報じたか、スライダーで分かる

それは、News from all sidesという機能だ。アメリカ版の政治チャンネルの中で、記事のいくつかについている「全ての記事を表示」をタップすると、最下段にスライダーが現れる。右にスライドすると保守系メディアのニュースが、左にスライドするとリベラル系メディアのニュースが、表示されるのだ。保守の人もリベラルの人も、同じトピックについて、自分と違うサイドのニュースの報じ方・論調が読める。自分の好みに合ったニュースしか見ない・見れない、というフィルターバブルの問題を、解決する糸口になるのではないか?

ユーザーが考えを変えるところまでは行かなくても、違うサイドでどんなふうに報じられているのかが分かるし、少なくとも、自分とは違う価値観を持った人たちがいて、価値観の違うメディアがあることを知ることができる。この機能は、分断という社会問題を、記事の内容解析のテクノロジーと、なめらかなUXで解決しようとしていると思った。自然と「あれ、なんだろう?」とスライダーを左右に動かしてみたくなるし、頑張って検索して違うメディアの記事を探したりする必要はなく、直感的でとても簡単に違う意見に出会えるからだ。

私はそのUXによって、スマートニュースのビジョンと、彼らが「ユニコーン」と呼ばれ、投資家から時価総額1000億円を超える評価を得ている理由が、分かったような気がした。社会の分断をテクノロジーで解決しようとしている。そして既に、世界5000万人以上*のユーザーが支持している。そう思ったら、この会社に「投資」したくなってしまったのだった。そう、僕にはお金はないが、自分のクリエイティビティを投資できる(もちろん、投資を断られる可能性の方が大きかったわけだけど笑)。そう思ったら、スマートニュースのミッション「世界中の良質な情報を、必要とする人に届ける」が、どういう意味なのかをもっと確かめてみたくなった。CEOと会ってみたい。いくつかの記事で読んでわかったことは、鈴木健というその人が、科学者であり哲学者でもあること。何年か前に読書好きの間でブームになった『なめらかな社会とその敵』という本の著者、その人であること。2020年5月はそんな月だった。

*ダウンロード数、2019年スマートニュース調べ