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コラム

世界で活躍する日本人マーケターの仕事

世界で活躍する日本人マーケターの仕事(欧州日清食品 田上伴光さん)後篇

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部下にもまるで一つひとつ業務を発注するように細かく伝えていく

—社内コミュニケーションで気をつけていることはありますか

海外でのコミュニケーションに関しては、ローコンテクスト文化かハイコンテクスト文化か、といったことをよく耳にするかと思います。それ以外にも、異文化の環境で仕事をする場合には、色々な傾向を理解してコミュニケーションを取ることが大切だと思います。ダイレクトに評価する文化なのか、オブラートにつつんで表現する文化なのか。タスクベースで信頼関係を構築する文化なのか、人間としてのウェットな付き合いがベースになる文化なのか。意思決定も合意型なのか、トップダウン方式なのか。スケジュール感覚は、直線的なのか、柔軟なのか。

こうした違いを意識した時に、ドイツと日本で一緒なのはスケジュール感覚だけです。そのほかについては、ほぼ正反対と言えるほどの違いがあります。これらを総合的に意識しながらコミュニケーションを取るようにしています。

一番大きな違いを感じるところは、日本がハイコンテクスト文化なのに対し、ドイツはローコンテクスト文化であるところです。日本ではあいまいなことがあっても汲み取ってもらえますが、こちらでは、あいまいなままだと仕事を進めてもらえません。

例えば部下や同僚に何かを依頼する時でも、まるで一つひとつジョブアサインメントを契約するような考え方で伝えるようにしています。これをいつまでにこれをこうやってほしいということを、部下に対して事細かに発注する感じです。見解の相違があるとストレートに言ってくる文化ですので、部下たちは「この時間内ではできないので優先順位をつけて欲しい」と返してきます。ドイツでは残業時間に対する考えが厳しく、週40時間分しか仕事を頼むことができません。そのためこちらも優先順位をつけ、何をいつまでにどういうレベルでやってほしいのか、細かく指示を出して、メールなどの文書として残すようにしています。

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