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コラム

世界で活躍する日本人マーケターの仕事

世界で活躍する日本人マーケターの仕事(パナソニックセールスベトナム 高橋俊介さん)前篇

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歯ブラシの平均価格が100円のベトナムで、約2万円の口腔ジェットウォッシャーが売れた理由

—そうした方針のもと、どのようなマーケティング施策を実施しているのですか。

高橋:こうした全社の危機感がある中、マーケティング変革の第一歩として、まずはリスクを恐れず実験的なマーケティングを試せる、新規商品の口腔ジェットウォッシャーでトライアルを実施しました。高圧の水で歯間・歯周の磨き残しを吹き飛ばすという口内環境ケア商品です。

歯ブラシでは取り切れない汚れも水流で洗浄。掃除が難しい矯正器具まわりの頑固な汚れも除去し、歯ぐきの健康も促進する。

ベトナムの普通の歯ブラシは100円もしませんが、私たちが販売するジェットウォッシャーは高いものだと2万円近く、200倍くらいの価格差があります。

日本や欧米では普及が進みつつありますが、ベトナム市場には高価すぎるということでこれまで導入を見合わせてきました。ただ赴任してから気づいたのが、ベトナムには日本のコンビニのようにそこら中に歯医者があり、歯に何らかの課題を抱えている方が多いのではと感じていました。また歯の矯正をする人も確実に増えており、「矯正している人で歯をうまく磨けていない人に、ジェットウォッシャーがハマるのでは?」という仮説が浮かび上がってきました。早速、カスタマーインサイトサーベイを実施。そこから、現時点で顕在化していない隠されたニーズ、潜在ペインポイントが炙り出され、この商品を普及させるアプローチの可能性が見えてきました。昨年から本格的に販売を開始し、結果一年で爆発的に販売を伸ばすことができました。

実施にあたっては、矯正している人の磨き残し以外にも複数の可能性に着目しました。リサーチの結果、他にも美しさにこだわっていて歯を綺麗に保ちたい人や潜在的に口内の病気に恐怖心を持っている人など、ジェットウォッシャーがソリューションを提供できる複数のターゲット顧客像が見えてきました。そこでペルソナを複数用意し、それぞれが求めているソリューションを提供できることを各々に伝えていく方法を取りました。つまりターゲット顧客像ごとにカスタマイズされたメッセージ・コンテンツを何通りも用意し、それぞれのペルソナのカスタマージャーニーに最も効率的にリーチする媒体で届けていったのです。

プロモーションは主にSNS広告を使いましたが、それぞれのペルソナ別に複数のクリエイティブ案を作成し、CTRやCVRなどの効果を都度検証。効果の高いペルソナ×クリエイティブの組み合わせを模索していきました。その結果、マーケティング活動を最適化、最大化できるようになってきました。

3つの仮想ペルソナに対し、それぞれ別のアプローチを展開、その宣伝効果を緻密に測り効果の高い宣伝内容にブラッシュアップしていく

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