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中央日本総合観光機構が始めた、観光プロモーション人材の育成方法とは

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コロナ禍で大きな影響を受けている業種のひとつが観光だ。そんな中、中部北陸9県(富山県、石川県、福井県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、滋賀県)の観光振興を目的とした一般社団法人中央日本総合観光機構(名古屋市)では、新しい時代に即したマーケティングやデジタルスキルを取り入れることで、観光産業と地域の発展を目指している。

今回は、同機構で会員支援事業の一環として『スタンダードトレーニング』を導入・活用している中川 一氏に、背景や成果、抱負を聞いた。

—中央日本総合観光機構は2017年5月に法人化、18年7月に日本版DMOとして観光庁登録された新しい組織です。設立の経緯は。

中央日本総合観光機構
企画部 担当課長
中川 一氏

05年に185日間にわたって、愛知県で「愛・地球博」(2005年日本国際博覧会)が開催され、国内外から2,200万人の来場者を集めました。この盛り上がりを受け、中部圏知事会の発案により、同年10月、当機構の前身である中部広域観光推進協議会が発足しました。万博開催前の03年には、訪日外国人旅行者数1,000万人を目標として、国、地方公共団体及び民間事業者が連携して取り組む「ビジット・ジャパン・キャンペーン」がスタートしており、国のインバウンド事業の本格的始動と、万博という国際イベントの開催が、まさに広域連携組織発足の後押しとなりました。

中部北陸9県という広いエリアにおける観光連携組織は、当時はまだ珍しく、現在の広域連携観光地域づくり法人(DMO)の先駆けと言えましたが、観光地経営やマーケティングといった考え方も十分に浸透しておらず、主な取組は、国内外へのプロモーションでありました。

そして、17年5月、中央日本の観光産業の創生と安定的な観光産業収入を通じた地域活性化を目指し、「一般社団法人中央日本総合観光機構」として法人化し、18年7月、日本版DMOとして観光庁の登録を受けました。

現在、私たち機構は、中部北陸圏の観光需要の創出と、安定的な観光産業収入を通じた地域活性化を目標として、「官民の多様な関係者との合意形成及び協同により、進める戦略的なマーケティング・マネジメント活動」や「自治体などの会員組織に対する支援事業(マーケティングデータ提供、広告宣伝、商談会、人材育成支援その他)」などの取組を行っています。

—これまでのキャリアを教えてください。

私はNTT西日本からの出向職員で、同社ではバレーボール選手として活動していました。引退後、同社で法人営業に従事し、直近の5年間は東海地区の自治体にITソリューションの導入提案をしていました。

そこで目の当たりにしたのは、自治体職員の方々は「担当領域におけるスキルアップを目指したり、興味のある分野を学んだりすることで、実務に還元したい」という思いを持たれているものの、日々の業務に追われてそれが十分にできていないという現状でした。

こうしたタイミングで人事異動の公募がありました。現在の立場と違った視点で世の中を見られるようになりたいと思い異動を希望しました。

観光団体に配属されるとは思っていませんでしたが、当機構への配属先の知らせを聞き、以前感じていたギャップを解消する役割も担えるのではないか、と思いました。

2021年7月から、当機構の企画部にて、理事会・総会事務局業務、広報業務などとともに、会員拡大・会員支援業務を担当しております。会員支援業務のひとつとして、会員である自治体や企業・団体の皆様が高度なデジタルやマーケティング等のスキルを身に付け、実行いただくための機会の企画・提供をしています。

—2020年2月から『宣伝会議スタンダードトレーニング』を導入されました。当時の経緯を教えてください。

はじめは、私のいる企画部ではなく、当機構の観光事業戦略策定や地域振興を担うマーケティング部に、宣伝会議の方から、マーケティングやデジタル、クリエイティブ領域の教育講座や研修、教育の仕組みについて提案がありました。

そこで提案された『スタンダードトレーニング』の仕組みは、会員様に向けた支援事業に活用できるのではないかと、説明を聞いた担当者が感じたそうです。

また、以前から機構関係者より、「多くの観光関係事業者が従業員の教育の必要を認めても、予算を出し、誰が何を学ぶべきか選んでいくだけのゆとりが無いんだ」「広域連携DMOとして、機構が広く、自治体や地域事業者の観光マネジメント力向上/観光人材育成を支援してやってくれないか」とのお話を伺っておりました。

こうした背景があり、導入が始まりました。

—会員組織の方が本トレーニングを活用して、どのような効果がありましたか。

ある県の自治体で、自身の業務領域の知識・実務力不足を課題に感じられた方が『地域活性クリエイティブ実践講座』を受講されました。その講座がご自分の実務の悩みを解消して、より成果が出る内容だと感激されました。

その方が「県庁の関係部署の方々にもこうした経験をしてもらいたい」と情報共有をされ、部門の垣根を超えて各人が自分に合った講座を受講し実務に生かす輪が広がっています。

このように利活用が確実に広まりつつある背景には、決められた時間で行う集合研修でなく、受講期間で自由に受講ができるオンデマンド講義の形式であったことでした。気軽に学べるようになりました。

また、各講座の内容も、検索すれば分かる表面的なものではなく、具体的な実践方法や事例が多く、実務に直結しやすい内容だったことも寄与したと感じています。

このように会員さまの組織で、観光のプロモーション等に役立つ、伝える力やマーケティングの力を身に付ける好循環が起きつつあります。

—本トレーニングの活用が2年目となった今、前期と比べどんな工夫をしていますか。

講座を受講する前に、「職場の業務の課題」や「その克服のために必要なスキル」を明らかにしたほうが、受講後の成果が高まることを発見しました。そこで受講前にこの2点を考えてもらう問いかけを行っています。

また、本トレーニングの対象講座 約150講座について、難易度を4段階の★マークでつけました。前期は難易度を提示していなかったため、「学びたいと思う気持ちはあるけれど、自分には難しい、(もしくは)物足りないのではないか」と受講に二の足を踏んでいる方がいらっしゃったからです。ご自分の状況にあった講座を選びやすくすることで、より学びと実践の好循環を実感してもらえるように工夫しています。

難易度を明記し適切な講座を選びやすくした

—機構の方々も本トレーニングを利用されたのですか。

本会員支援業務を担当する企画部にて、自ら実際に受講してみました。プロモーションについて実践的に学べる内容であり、更にレベルアップした講座を学んでみたいと感じました。
会員の皆様への受講機会提供との兼ね合いになってしまいますが、出来れば、機構のマーケティング部のメンバーにもレベルアップや多能化の観点で学んでもらいたいと思っております。

—最後に抱負をお聞かせください。

今、コロナ禍によって、私達が活動している中部北陸エリアにおいても、まだ観光産業は厳しい状況におかれています。このままでは、今ある観光資源や観光産業をそのまま未来の世代に残すことが難しい状況でもあるといえます。

この状況を好転させられるのは、会員組織の自治体や企業・団体で、観光プロモーションを担当されている方、そしてその先にいる事業者の方です。

そうした皆さまが、観光プロモーションの成功のために欠かせない、マーケティングやデジタルのスキルを磨いて実践されることで、中部北陸エリアの観光産業が発展するようなきっかけをつくることができると考えています。

また、私たちもマーケティングやデジタルの専門性の底上げに努めていくことで、会員組織の皆様との事業支援や連携を加速させていきたいです。

そのためにも、まずは成功事例を増やし、成果につながりやすいポイントを体系立てることが必要です。そしてこの情報を会員組織の皆さまに広報し、本トレーニングを使ってより早く失敗せずに成功される観光プロモーション事例を増やしていきたいです。

ときには、事務局という立場を超えて、私たちがマーケティングやデジタルのスキルとその成果事例の伝道者となって、会員組織さまの懐に入り、職場課題の解決などの支援をすることも必要と考えています。

会員組織と共に活動をすることで、観光地マネジメントを成功に導くだけでなく、会員組織の組織力向上などにまで寄与していきたいです。

機構と会員組織のマーケティングやデジタル実務のスキルを向上するために、中央日本総合観光機構さんが活用したのは……
宣伝会議の宣伝会議 オンライン版スタンダードトレーニングでした。
 

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info-educ@sendenkaigi.co.jp