コラム

健康・医療・美容でビジネスをするためのコラム

大麦のヒットに学ぶエビデンス・マーケティング、「食品機能性表示制度」対策はこれだ!

share

今新制度「食品機能性表示制度」施行直前の今、ヘルスケア関連商品事業の関心はエビデンス取得に偏りがち。しかし、消費者の心を動かす、コミュニケーション設計がなければ、“仏作って魂入れず”。宣伝会議が3月12日に開講する「ヘルスケアマーケティング実践講座」の講師であり、日経BPヒット総合研究所 上席研究員の西沢邦浩氏が実例を交え、ポイントを解説する。

これまでわが国において、健康機能を持った食品の効能をうたえる仕組みは国が審査して許可する特定保健用食品(トクホ)だけだったと言っていい。栄養補助食品は、ビタミン・ミネラルに関して「1日摂取の上・下限値の範囲内」の配合で表記できるという規格基準型制度のため、企業が特定の食品成分に関して独自に得たエビデンスに基づく表記ができるわけではなかった。

そのため各社は、目の老化防止を訴求する場合には「くっきりとした日々に」、関節ならば「ふしぶしが気になる方に」といった“文学的な”コピーワークをもって対処してきた。その意味で、今年、対象となる食品もしくは食品成分にしかるべきヒト試験データがあれば、企業の責任で、身体部位の構造や機能のサポートをうたえる新しい機能性表示制度が動き始めることの意味は大きい。現時点(2015年1月中旬時点)で最終ガイドラインは出ていないが、これまでに『日経ヘルス』誌で取り上げた食品の事例を紹介しながら、エビデンスを持つ商品のマーケティングを行う上で留意したいポイントに触れていきたい。

食後高血糖の意味と抑制に寄与する食品

ここでは、ここ数年ヘルスケアマーケティング分野でキーワードの一つになっている「食 後高血糖」(食事をとった後に高血糖状 態になること)とそれを抑制する食品を例にとろう。なぜなら、糖尿病のリスク要因や症状の一つとされてきた「食後高血糖」が、①肥満や②肌老化、③骨の脆弱化などを進める原因として急速に注目を集めてきたからだ。この①~③は、いずれもヘルスケア市場のコアユーザーと言える中高年女性にとってトップに 近い順位に入る関心事でもある。

①は高血糖時にこれを処理するために大量に分泌されるホルモン・インスリンの作用などにより起こり、②③は肌と骨の健康維持に欠かせないたんぱく質・ コラーゲンに余った糖が結合して傷むことが原因だ。つまり、食後高血糖の予防が、ダイエットにも美容にも、さらには健康寿命にまで影響を与える可能性がある。いわば“一石三鳥”。血糖値を上げるのは食品に含まれる糖質だ。糖質の中でも血糖値を急上昇させやすいのが砂糖類やでんぷん。甘い飲み物や食べ物、白いご飯やパンが危ない。

こういった食品をなるべくとらないことを薦める「糖質制限」といった方法もあるが、摂取する糖質量が激減することによる、腸はじめとする身体のダメージを考え、月刊誌「日経ヘルス」と「日経ヘルスプルミエ」(休刊中)では、食事を楽しみつつ簡単に行える方法の提案を行った。その一つが、日経ヘルスプルミエが2008年に発案したベジタブルファーストだ。これは、食物繊維が多い野菜や豆を血糖値が上がりやすい糖質食品をとる前に食べる方法。食物繊維が糖質の吸収を妨げ、血糖値上昇が緩やかになる。

この言葉は、食のコンサルティング会社デザイナーフーズの協力を得て産業界に広まっていった。また、直接消費者に訴求する共同キャンペーンを行ってきたパートナーが、女性を中心ターゲットにして「美しく健康で快適な」ライフスタイルをサポートするコンビニエンスストア、ナチュラルローソンだ(2014年12月時点で、首都圏 を中心に115店舗を展開)。もう一つの方法は、主食自体を食物繊維リッチにして血糖値上昇を緩やかにする方法。そこで当誌が注目したのが、穀物の中でも食物繊維量が多く、特に血糖値抑制作用が強い水溶性食物繊維を大量にとれる唯一の日常食品といっていい大麦。いわば昔懐かし い“麦ご飯”の復活だ。大麦食の推進にあたっては、精麦加工の最大手はくばくとともに諸々の施策を展開してきた。

ナチュラルローソンではベジタブルファーストキャンペーンを実施。写真はキャンペーンのポスターとクーポン。期間中は特設棚も設けられる。

Follow Us