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コラム

右手に常識、左手に非常識。――関西「広告」クリエイティブの源泉  

志は高く、目線は低く。

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テレビの前の2~3人に。パソコンの前の1人に。

話は少し変わりますが、リラックスつながりでもう少し書きます。あるCMの企画を持ち寄って、打ち合わせをしていたとき、石井さんからこんなことを言われたんです。

「今回の山ボンの企画は漠然としてるし、なんも伝わってけえへんわ。テレビCMやからといって、
1億人に向かってなんか言おうとしてるんちがうか?
テレビというものは、お茶の間の2~3人が見ているもんやんか。その2~3人の気もちに伝わるように考えたらいいんや。
その2~3人に伝わる企画は、他のたくさんの2~3人にも伝わる。2~3人の気もちをつかむことが、結果として、100万人、1000万人の気もちをつかむことになるんや。いきなり1億人になんて思うな。ムリなんや。
もっとリラックスして、無責任に考えろ」

その通りだと思いました。いきなりたくさんの人に伝えようなどと思うから、肩に力が入ってしまうし、何を言いたいのかわからない、ぼんやりとした企画になってしまう。結果、たった一人にも伝わらない企画になってしまうんですよね。

この話をあえて書いたのは、テレビの世界だけでなくネットの世界でも同じようなことが言えるんじゃないかと思うからです。

パソコンやスマホの前の1人がおもしろいと思うから、世の中に拡散していくのだと思うんです。マスでもネットでも店頭でも、その前にいるごく少数の人に向かって、リラックスしてコミュニケーションする。そういう意識を持って考えられたら、企画はより具体的になるし、ぐんとおもしろくなるんじゃないか、と。

一般庶民として、普通の心で、リラックスして考える。テレビの前の2~3人、パソコンやスマホの前の1人に向かって考える。僕はこれからもそういうことをだいじにしたいと思っています。

そうすると、目線は自然に低くなるのです。

「志は高く、目線は低く」。

そういう気もちを持って、これからもこの仕事を楽しもうと思っています。

というところで、そろそろおしまいにします。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。