コラム

関西で戦う。クリエイターの流儀

神戸の端っこで、これからのデザイナーのビジネスモデルを実践する

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産地で戦う方々との付き合い方

地場産業や地域の工芸とクリエイターが協業する案件は先進性や意義、そしてデザインとしての精度が高いものも多くあると思います。ただ自戒の念も含めてですが、そのプロジェクトに携わった方々、特に地域の当事者たちが儲かっているかどうかに重点を置けているかというと・・・。これからの時代、このことがクリエイティブ業界でも大切なことだと改めて実感しました。

さらに話は進んで。堀内さんは何を心がけて産地で戦う人たちとお付き合いしているのでしょうか。

—クリエイティブの世界と価値観が違う産地との方々とどう向き合っていますか?

堀内:まずは彼らが何を思っているのか、それを知ることが一番大事。例えば新潟・白根という地域の仕事があります。白根仏壇という仏壇が伝統工芸品のすごく小さな町で、そのまちづくりをしている方から依頼がありまして。それは、仏壇を製作する技術を使ってプロダクトをつくって欲しいと。

補助金事業だったんですが、ゴール設定やゴールに向かっての仕組みやチームづくりが弱いと感じました。なので、まず1年間は仏壇の職人さんとの関係性づくりや本当の目的探しに費やして、1年間デザインしませんよって。で、最終的にプロダクトをつくらないということを結論として出しました。

白根仏壇職人の作業風景

—依頼内容(プロダクト製作)とは違う結論を出したんですね。それはなぜですか?

堀内:仏壇職人たちと長くお付き合いをし、たくさんお話しする中で「自分たちの生き様を残したい」というのが見えてきました。歴史や技術は後世に残るかもしれないけど、儲からないから自分の息子たちやその孫世代に仕事を継ぎたくないという想いを語ってくれたときに、プロダクト製作ではないなと。

そこで白根仏壇の技術や知識、素材をしっかり知ることができて、多種多様なクリエイターが関われるような機会や仕組みをつくるということを提案しました。例えば、仏壇づくりの技術を使ってアクセサリーを作るデザイナーが出てくるなど、白根からものづくりの新たな風が吹いたらいいなと思っています。

これからのデザイナーのビジネスモデルを実践する

神戸の地場産業はもちろん、今や神戸だけではなく国内さまざまな地域から相談を受けるトランクデザイン・堀内さん。そもそもなぜ垂水を拠点にしたのか。そしてデザイナーやクリエイターがこれからの時代、どのように戦っていくべきなのか。最後に、堀内さんにこれからの戦い方についてお聞きしました。

—そもそもなぜ、神戸・垂水を拠点にしたのですか?

堀内: D & DEPARTMENTのナガオカケンメイさんとお話ししたのが大きかったです。地域性にこだわることが大事だと。神戸なら、クライアントやアクセス性のことを考えると三ノ宮に事務所を構えるのが普通だと思います。しかし、僕は神戸市内の端っこにある垂水という地域を選びました。

事務所や店舗としての条件もあるのですが、一番は誰でも来ることができる場所ではなく、あえて目指していくような場所であること。自分たちがつくるものや発信するものに共感してくれる方がわざわざ来てくれて、商品を購入したり、仕事の相談もしてくれます。

垂水という地域で仕事をし続けて、最近思うのはライバルがいないから1人勝ちというより、ライバル同士で戦う必要もないなということ。だからこそ今はデザイナー同士でシェアすることが大事だなと思っています。

—同業者で仕事をシェアするということですか?

堀内:例えば地場産業もデザインは1つではなく、さまざまなデザイナーが関わって多種多様なプロダクトが生まれ、産地が潤った方が面白いと思います。

僕にとってデザイナーとしてプレイヤーになることも大事ですが、いろいろな風が吹く仕組みをつくることも同じくらい重要です。だからこそデザイナー同士がシェアして協働するというビジネスモデルの可能性は大いにあると思います。駆け出しの頃は俺が俺がってなっていたけど、年齢やキャリアを積み重ねると、この分野では負けないというのも出てくるはずです。そういった得意分野の掛け合わせができるのは、これからのデザイナーに必要なことだと考えています。

—なるほど。もしかするとそれは地方で戦う1つの方法かもしれませんね。

堀内:だからこそデザイナーをはじめ、関わった人がもっと儲かる構造も必要。メーカーが儲かった分、一緒につくった人たちに何パーセントかが入るロイヤリティ契約が普通となるように、今後もガンガンやっていきます!

—面白いですね!ぜひ今後もお話し、いや、できればお仕事ご一緒させてください!

取材を終えて〜田中が今日から実践すること

仕事をする上でやはり大切なのは人との関係。デザインやクリエイティブを前提とせず、クライアントやパートナーにもっと寄り添って、本当の目的や大切にしていることをしっかり見極めて取り組んでいきたいと思います!

(おわり)

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