コラム

世界で活躍する日本人マーケターの仕事

世界で活躍する日本人マーケターの仕事(P&G Singapore office 倉富二達広さん)後篇

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【前回コラム】「世界で活躍する日本人マーケターの仕事(P&G Singapore office 倉富二達広さん)前篇」はこちら

海外に出て活躍する日本人マーケターにオンラインでインタビューを実施する本コラム。インタビューを通じてコロナ禍の今、さらにAfterコロナの時代に、ブランドはどう行動していくべきか、そのヒントを探っていきます。2回目の“訪問”先は、シンガポール。P&Gで「アリエール」、さらには日本市場におけるジェルボール型洗剤の中長期戦略を統括されている倉富二さんに話を聞きます。特にシンガポールで勤務しながら日本のマーケットに向き合っている仕事内容から、日本におけるマーケティングを今後どう進めるべきか、グローバルの視点からヒントをいただきます。

倉富二達広氏
P&G Japan Ariel Brand Director 兼 Japan SUD(Gel Ball)Leader

2012年に武蔵野美術大学の油絵学科卒業。同年、P&Gマーケティング部に入社。日本本社にてSK-IIなどのマーケティングを担当後、2016年からアジア本社のシンガポールに赴任。現在はアリエールブランドディレクターと、日本市場におけるジェルボール型洗剤の中長期ビジネス戦略リーダーを兼任。

 

洗剤よりも、これからの家庭のあり方に着目する

— これまで手掛けた具体的なマーケティング・コミュニケーション活動について紹介ください。

コミュニケーションアイデアとして、最近手がけたものは「家事シェア」というものです。これまで基本的には主婦の方が洗濯をするところをアリエールやボールドでは描いてきたのですが、男性や子どもなど家族の色々な人が家事をする姿を描いています。広告自体は2020年4月に始まりましたが、この方向性は以前から検討していました。いかに家事の比率が変わっていくか、どういう家族形態が数十年後に多くなるかという点に着目すると、専業主婦の人がいて、その人が家事を担うというのは時代遅れだと感じていました。

ある時期から男性が家事を率先するという未来が来て、それがマジョリティになっていくと感じていました。そこにコロナの影響もあって、在宅勤務の中で家族が家事をシェアすることがさらに一般化され始めたと思います。当初は一部のCMで男性タレントを起用するだけでしたが、コロナの状況も見ながら、さらに夏、秋、冬と、男性や高校生の男の子が家事を積極的にやっていくという部分を加えていきました。

洗剤のブランドを担当しているのですが、日々気にしているのは洗剤というよりも、これからの家庭のあり方です。これはP&Gのカルチャーと言えるかもしれません。家事とか洗濯をしている時間は消費者の方の1日の中のすごく限られた時間です。

洗濯のことだけ見ていると、もっと洗浄力高い方がいいよね、香りが良い方がいいよね、という、あまり発展しない話になってしまいます。それよりも洗濯という行為に何を求めているか?家事全般に対してどういう時間であってほしいと思っているのかを考えた方が、今後の広告や商品開発に生かせるインサイトを得られるのではないかと思っています。これはP&Gのキャリアを通して学んだことです。

次ページ 「プレゼンテクニックよりも消費者インサイト」へ続く

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